定期健診について
私たちヒトの場合はある年齢になると1年に一回は定期健診を受けるようになります。自分が勤務している会社で年に1回受けたり、自分で計画を立てて人間ドックで検査することもあったり、女性であればそれ以外に婦人科の定期健診を受ける方もいると思います。スケジュールを立てたり、時間や費用もかかりますが、「病気の早期発見」のためにみなさん行っています。
では私たちのパートナーである犬や猫はどうなんでしょう?
同じように「病気の早期発見」ができます。若い子でも先天性の病気を持っていることもありますし、食べているご飯が体に合わなければいつの間にか肝臓に負担がかかっていたりします。それらに私たち飼い主が気づくためにはやはり検査が必要です。
6歳未満の子であれば1年に1回の血液検査、6歳以上の子であれば「シニア:高齢期」になりますので半年に1回の血液検査、画像検査をお勧めしています。シニアになると、病気に罹る可能性が高まります。気づかない間に腫瘍ができて進行していることもあります。そのため、血液検査と画像検査をお勧めしています。
一般コースの内容
- 血液検査(血球計算):血球計算(赤血球、白血球などの血液内の血球数)・・貧血、感染、炎症、などがわかります
- 血液検査(生化学検査):血糖値、コレステロール、肝臓、腎臓、などの状態を数値で評価します
- 尿検査:血尿の有無、尿のPH検査、尿石の有無などを見ます。年齢に関係なく、尿石症が発見されることは多いです。
シニアコースの内容
- 血液検査:上記と同じ
- 尿検査:上記と同じ
- 画像検査(超音波検査:腹部):肝臓、胆嚢、脾臓、腎臓、膀胱などの臓器を画像で評価します。腫瘍があるかどうかは血液検査だけではわかりませんし、脾臓や胆嚢、膀胱、小腸や大腸の評価は画像検査が必要です。
- 画像検査(超音波検査:心臓):心臓に異常があるかどうかはまずは聴診が重要ですが、雑音がなくても異常が見つかることがあります。猫の場合は肥大型心筋症が多く、雑音がないパターンもあります。
オプションの内容
- 画像検査(レントゲン検査):6歳以上のシニアの子や心臓病を持っている子にお勧めします。レントゲンは骨や骨格の異常や、心臓の形の異常、肺や気管の異常、内臓に石がないかどうかも評価できます。これらも症状の有無に関わらず、検査で異常が見つかることがあります。
胸部レントゲン:心臓の形、気管の走行、肺の状態、胸椎の異常などを評価します。
腹部レントゲン
- 腎臓のバイオマーカー(SDMA) : 血液検査です。従来の腎臓を評価する方法よりもより早期に腎臓の異常を発見できる項目です。シニアの子にお勧めです。
- 心臓のバイオマーカー(ANP): 血液検査です。心臓のホルモン検査。犬のシニアの子、心臓病を持っている子にお勧めです。心房筋から産生されるホルモンで、うっ血性左心不全の状態を数値で評価します。肺水腫になりやすい状態にあるかどうかを数値で評価します。
- 心臓のバイオマーカー(NT-proBNP): 血液検査です。心臓のホルモン検査。猫も対象です。心室筋から産生されるホルモンで、心筋症の有無を数値で評価します。猫にお勧めです。通常は猫の心筋症は超音波検査で形態学的に評価しますが、数値の評価を加えることでより精度の高い検査ができます。
検査はしたいけど「何を組み合わせて検査するべきかわからない」という方はお気軽にお電話でご相談ください。検査の費用については前回の投稿をご確認頂ければと思います。